ダイアモンド X500 144/430MHz GPアンテナの再生 第2回

144/430MHz用GPアンテナの再生について、メンバーから寄せられた記事をご紹介します。

ダイアモンド X500 144/430MHz GPアンテナの再生 第2回
2021.2.07
JH1ESR 三根

 
 第一電波工業社のX500 再生は、オリジナルの材料が失われたため、手探りの状態で何とか 2 バンドが使えるかというところまで作業は進みましたが、作業終了直後に豪州のハムが同じような修理をしている記事に遭遇して、仔細に読むとほぼオリジナルの状態からの修理であることがわかりました。
そこに記述されているマッチングに関わるコンデンサの値は、私がたどり着いた値とは異なっていて製造された時点での物が残っているようです。これに触発されて、再び再生を目指してのカットアンドトライを行うことにしました。

8.コイルタップの位置の変化の影響

 コンデンサの値の変更でこれまで最良点を探していましたが、コイルのタップ位置の変更で最良点が見つからないだろうかと考え、コンデンサの値を変更するまえに 12pF がついているタップ位置を上下に多少動かしてみました。元のタップ位置から約 2mm 程度コイル上を移動させて 測定しましたが、上下のいずれの方向も SWR の変化は悪化するだけで 3 度目にもとに戻すとほぼ元の値になりましたが、微妙にずれて両バンドとも悪化しました、正確な位置に戻すのはなかなか難しいです。


9.コンデンサ値の変更

 豪州のハムの記事では N J 栓のセンターピンに直列に入っているコンデンサの 10pF とシャントのコンデンサ 1.5pF の半田付けを外して作業をしたとあるので、この 2 個のコンデンサがオリジナルのものと考えられます。 私の場合は、直列には 12pF 、シャントに 3pF になっていて、これまで得た情報 のものの 2 倍 の値のシャントなので、 このあたりの問題があるように思えました。 直列のコンデンサの値は比較的近い価ではないかとも思えましたので。 合成して作っているコンデンサをできるだけ少ない数で値を得るように現在ついているコンデンサはそのまま外して保管し、 新しいコンデンサで各値を作ることにしました。


10.マッチングの再組立

 テストに付けていた全てのコンデンサを外し、コイルや支持体の半田位置の点も半田吸い取り機を用いて綺麗にします。シャント用の 1.5pF は単体では無いので1 pF を 3 個、 2 個直列し、他の1 個のコンデンサに 並列に接続して 1.5pF をします。まだ最終決定値ではないのでエレメント金具と N J 栓のアース側底部の金具間を1 pF で繋ぎ、直列した 2 個の1 pF コンデンサはその背に乗せるように接続して、外すことの用意もしておきます。 N J 栓のセンターピンとコイルのタップ一間は 10pF で繋いで、アダム氏の記事のとおり、オリジナルの数値で実測する準備をしました。


11. 結果と調整

 アンテナを組上げて測定するとなんと、かなり良い数値が出てきました。 143.5MHz にディップが来て、 145.000MHz で SWR2. 5 とこの辺り では一番低いディップになりました。また、 433MHzでは422MHz に深いディップがあり 433MHz では SWR 1.7. 程度のディップがあります。 両バンド共 SWR3.0 を切っているので更に調整するとチャンスがある や も知れ ぬ と 次 の作業に 移 ります。
シャントの 3pF を 1.5pF に変更したことでディップが 145MHz に 寄って 来ましたので、さらに0.5pF 減らすとどうなるかと思い、これを外して再テストすると、 144.4MHz 辺りにディップSWR1.9 と寄って 145MHz では SWR2.1 になりました。 これはと思い 433MHz をみれば、深いディップは変わらぬものの、SWR2.9 とずれてしまいました。
さて、どうしたものかと思いましたが、コイルにタップしている入力ラインの10PF の容量を増加すると 433MHz の SWR が改善する傾向があることを前回の試行で経験しましたから、 10pF に1pF を追加して、外した 0.5pF を戻して再度テストしましたら、 145MHz 派殆ど変化なく 422MHzの深いディップはなくなり 432MHz あたりに浅いディップが出来て SWR が 2.4 ほどになったのです。もう少しだと、さらに 10p F につけた 1pF を 2pF に交換して、今度は 0.5pF を外してディップのセンターが 145MHz にならないかと試してみたところ、 145MHz にディップのセンターが来て、さらに、 433MHz にもディップが来ました。 SWR は劇的に 145.00 で 1:1.6 、 433MHz でもSWR は 1:1.6 と信じられないほど旨く結果が出たのです。


12.最終結果

 結果として、コイルと並列のコンデンサは1pF 、これは丸焼けになったコンデンサを測定した値と同じなのです。バラバラになって解体時点で見つけられなかった、入力側のコンデンサは 1 2pF になりました。 とうとう両バンドとも中心周波数で SWR1:1.6 になり完全に実用範囲に収まりましたから、この作業も終了です。 もっと追い込んで両バンド共に SWR1.5 以下出来れば 1.2 とか1.3 に するように試みればと欲も出ますが、マッチング部の指示体の材質や寸法形状がオリジナルとは異なっているので、これ以上の結果が出るか判りませんので、此処で全作業終了とすることにしました。
解体時に形として入力側コンデンサがなかったことは、恐らくこのアンテナは過大入力により、コンデンサがパンクした上、解体の過熱で コンデンサがバラバラになったものかと思われます。
解体作業の地面に形のあるコンデンサを探して見つかりませんでしたが、恐らくバラバラになった破片とリード線が落ちたのではないかと思うのです。 そこは既に掃除してしまい何もありませんから、推測でしかないのですけれど。そしてコンデンサはやはり 10pF ではなかったかと思うのですね。 今回の無茶な取り組みで改めて、高い周波数帯での部品配置やリード線の処理などが、様々に影響することを学びました。 同じ状態のアンテナ同様に修理して同じ結果が得 ら れるかとは、限らないだろうとも 思いました。

 最後に、アンテナの理論を正しく理解するのは専門で ない者 には大変ですけれど、無線を 始め た頃 は 何も判らず DP を作り、飛ばないと言いながらいろいろ工夫して結果として、理論に近いことを実践することになって 、体で覚えたこともあります。 今回も同じようなことでした。
30年近く昔のアンテナは捨てられてゴミになるはずでしたが再び活躍します。挑戦してみれば良い結果も出ることがあるのですよね。 古いものでも大事に使いませんか?
測定値はちょっとしたことで変わるの で 同じようにならないかもしれませんが、いろい ろチャレンジしてみてください。面白いですよ。では、 73s


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